高級車のCMに人が少ない理由
高級車のCMには人があまり出て来ない。知識人と一般人の考え方の違いからその答えを読み解く。
知識人は孤独を愛する
レクサスなどの高級車のCMには人があまり出てこない。高級車のCMの典型的なパターンは次の2種類である。
- 誰もいない街を1台の車が走る(不自然な)光景
- 誰もいない大自然を1台の車が走る光景
もちろん例外もあるが、高級車のCMに登場する人の数は非常に少ない。
では、なぜ人が少ないのか?
高級車に乗る人、つまり富裕層は孤独が好む傾向があるためCMでは高級車の孤独を演出しているのだ。
富裕層は知識層の割合が他の層(一般層、貧困層)より高く、知識層は孤独が好む傾向がある。
一般人は集団を好む
一方、価格が比較的安い一般層向けの車(低級車)はどうだろうか?
一般層向けの自動車CMの典型的パターンは次の2種類である。
- 家族で楽しくピクニック
- 友人同士で楽しく旅に出かける
一般層は集団で行動することが好きなので、自動車メーカーの低級車のCMでは、集団を意識した内容になっている。
下の表は前述した一般人と知識人の違いである。
知識人 | 一般人 | |
---|---|---|
収入 | 高い | 低い |
購入する自動車 | 高級車 | 低級車 |
重視する考え | 個人の意見 | 集団の意見 |
好む所属形態 | 孤独 | 集団 |
知らずに洗脳されていた自動車のキャッチコピー
キャッチコピーにも現れている。下は日産の旧セレナ(約200~300万円)と、日産の旧フーガ(400~550万円)・旧シーマ(650~800万円)合同の宣伝文句である。
セレナのキャッチコピーは「みんな のりな セレナ」、対するフーガとシーマは「日本の高級車に個性がないなんて、言わせない。」
セレナは「みんな」という言葉を用いることで、消費者に集団を意識させている。
反対に、フーガとシーマは「個性」というキーワードで、個人というテーマを利用することにより、知識層=富裕層の心をつかもうとしている。
一般人は命令表現に従う
次に、セレナのキャッチコピーに「のりな」という命令表現を用いたことに着目する。
ではなぜ、命令表現を使っているのか?
理由は命令に対して、一般層と知識層の反応が違うからである。
- 一般層:命令に従う
- 知識層:命令に反抗する
特に若者は、命令表現を使って洗脳されている。
アイドルの曲には「~しようよ」「さあ、○○へ行こう」など命令形の表現が多く使われ、ソニーのウォークマンのキャッチコピーにも「歌え、10代。」、と命令表現が含まれている。
ファンを洗脳させ、さらに若者または低知識者に限定することで、彼らの購買意欲を注ぐ最適な販売戦略が立てられるからだ。
またセレナのキャッチコピーに命令表現が使われている理由は、一般層向けの自動車のため、命令表現を用いて一般層を洗脳させ購買意欲を高める狙いがある。
知識人は事実のウラを探り、快楽を得る
フーガとシーマのキャッチコピーに「ない」という否定表現を使うのは、大きな意味がある。
知識人は知恵があるため、物事を簡単には信じず、よく疑う。事実のウラを知ることに快楽を覚え、一般的に信じられている物事が否定されると、その情報源に信頼性を抱く傾向があるのだ。
例えばアメリカの高級腕時計メーカーのCMでも「CMなんて信じない、そんなあなたに」というフレーズが使われている。
結論:知識人は孤独を好む
高級車のCMに人があまり出てこない理由は、孤独を愛する知識人の心をつかみ、高級車の印象を良くし、販売を促進するためである。