高専卒業生の離職率が明らかに
高専機構が高専卒業生を対象にしたアンケート調査を実施し、高専卒業生の転職率や離職率を調査した。
そこで今回は、高専卒業生の離職率について紹介し、高専卒業生の労働環境を探る。
3年以内の転職率は6.5%
下の表は、高専機構の資料をもとに作成したものである。
卒業 | 回答者数(人) | 転職経験者数(人、%) | (参考)現況において、就職あるいは進学を選択しなかった方(人) | |
---|---|---|---|---|
卒後7年目 | 14 | 4 | 28.6% | 3 |
卒後6年目 | 44 | 11 | 25.0% | 3 |
卒後5年目 | 288 | 57 | 19.8% | 14 |
卒後4年目 | 19 | 0 | 0.0% | 0 |
卒後3年目 | 31 | 2 | 6.5% | 1 |
卒後2年目 | 28 | 1 | 3.6% | 0 |
卒後1年目 | 33 | 1 | 3.0% | 1 |
(高専機構-平成23年度国立高等専門学校卒業生アンケート調査 調査結果の概要をもとに作成)
上の表は、高専本科(5年間)を卒業してすぐに就職した者の中から、転職した人の数や割合を示したものである。また、右端の就職も進学もしなかった者のデータを加えると、離職率に近いデータも知ることができる。
転職率や離職率は、新卒3年以内のデータが重要視されるが、高専の場合は転職率が6.5%、離職率が9.7%である。
離職率は大卒の1/3の低さ
下の表は、厚生労働省-新規学卒就職者の離職状況をもとに、平成26年度3月に卒業した新卒が、就職後3年以内に離職する割合を示したものである。
最終学歴 | 離職率 |
---|---|
大学 | 32.2% |
短大等 | 41.3% |
高校 | 40.8% |
中学 | 67.7% |
(厚生労働省のデータをもとに作成)
大卒が32.2%と最も低いが、3人に1人が3年以内に退職することを考えると、非常に高い値である。
一方、先ほど紹介した通り、高専の離職率は9.7%であるため、大卒の1/3以下の割合である。よって、高専卒業生の離職率は非常に低いことがわかる。
転職率や離職率が低い要因
転職情報サイト「リクナビNext」や「エン・ジャパン」が転職経験者に「退職理由のホンネ」を聞いた調査では、1位は共に「人間関係」である。
また、10位までの理由を見ても、人間関係と給与と労働環境に関するものだ。
一方、高専の場合、卒業生の多くが製造業に就職するので、他の業界に比べれば人間関係で問題が起きにくい。
また、高専受験計画-高専生の奨学金の受給率と延滞率で、奨学金の延滞率が、高専生は非常に低いことを紹介したが、給与が極端に少ないとは思えない。
よって、それらが離職率や転職率が低い要因だと考えられる。