欧米で過労死が起きない理由
日本では過労死や過労自殺が年々増え続け、長時間労働が社会問題となっている。一方、欧米では過労死や過労自殺はほとんど起きない。その理由を紹介する。
年々増え続ける日本人の過労死と過労自殺
下のグラフは1999年度と2010年度の日本における過労死や過労自殺の申請件数を示したものだが、日本では過労死や過労自殺が年々増え続けており、若者の長時間労働や低賃金が社会問題となっている。
(出典:WEBRONZA-若年層を襲う過労自殺・就活自殺の多発、学生の就活自殺はこの1年で倍増)
一方、下のグラフのように日本以外の先進国では週49時間以上働く労働者の割合が少なく、一般労働者の労働時間も少ない。
(出典: editor-「バカンスが30日間のフランス、夏休みが3日の日本」「フランスより2倍以上も働いている日本」のGDPがフランスより遥かに低い事実)
アメリカでは多額の賠償金が出る
そもそも欧米では過労死は普通起きない。過労死が起きない理由は、労働災害に対して多額の賠償金が出る法律があるためだ。
例えば白人経営者が黒人労働者を過労死させた場合、黒人の市民団体から復讐されて経営者が殺されたり、デモが起きてしまう。
実際に、アメリカでは白人警官が黒人の一般市民を射殺した後、黒人の市民団体がデモを起こす事態がたびたび起こっている。デモにより警官が殺されたり、道路を封鎖した抗議も起きており、多額の経済損失が出ている。
このような国ではデモを事前に防ぐため、過労死やセクハラといった労働災害に対し、企業に多額の賠償金を払わせる法律が作られており、暴動が起きないように工夫されている。
この賠償金は売上高の大きい企業ほど高くなり、ロイター-FOXニュース、前CEOのセクハラ訴訟で20億円支払いへで紹介されているが、セクハラを訴えた元キャスターの女性は裁判で20億円の賠償金を勝ち取っている。
他の国では名誉殺人で復讐される
独裁国家や奴隷制度がある国、身分制度が根強く残る国、そして一部の国を除いて、アジアやアフリカでも過労死の話をほとんど聞かない。
なぜなら「名誉殺人」があるからだ。
例えば過労死や過労自殺が起きた場合、被害者の家族や親戚一同が集まって「一族の名誉を守るため」という理由で加害者へ復讐しに行くが、例え加害者が死んでも名誉殺人は無罪となる。
下の動画はパキスタンで起きた名誉殺人の事例であるが、やはり名誉殺人を行った犯人はすぐに釈放されている。
私は東南アジアで働く日本人の体験談が書かれた本を読んだが、その体験談によれば、ある日本人経営者が1人の従業員に対して「お前はクビだ」と人前で告げたところ、次の日に包丁持って現れたようだ。
彼らにとって人前で解雇を告げるのは大きな侮辱であり、労働者を罵倒しても何も問題にならない日本とは大きな文化の違いがある。