全く働かない従業員が2割いないと組織は崩壊する
アリの研究から、アリの2割は全く働いておらず、むしろ全員が働くと組織はいずれ崩壊することが解明された。
アリは常に8割が働いて2割が働かない
アリは一般的に「働きアリ」と呼ばれ、よく働くイメージが世間に浸透している。
しかし、北海道大学農学部准教授の長谷川英祐氏の著書「働かないアリに意義がある」によれば、アリの2割は全く働かないことが研究で分かっている。下の動画では、そのアリの生態について詳しく紹介している。
動画で紹介されている通り、アリ150匹の内、全く働かないアリは30匹(全体の2割)いる。その働かないアリ30匹だけを飼育すると8割が働くようになる。一方、働くアリ120匹だけを飼育すると、2割が働かなくなる。
つまり、アリは常に8割が働いて2割が働かない構造を意図的に生み出しているのだ。
この8:2の法則を生み出す理由として、「巣の補修が必要になった際に、働かないアリが働くようになり組織が存続するからだ」と推測しているが、財経新聞-「働かない働きアリ」は交代要員として必要であるという研究結果によれば、長谷川氏の理論は実験で正しいことがわかっている。
長谷川氏が研究やコンピュータシミュレーションで確認したところ、働くアリばかりだと、一斉に疲労でダウンして組織が崩壊するが、働かないアリがいれば組織は存続するのだ。
ブラック企業はいずれ崩壊する
仲間を適度に休憩させるアリとは反対の、組織にいる従業員のほとんどを酷使するブラック企業ではどうだろうか?
例えば2014年度ブラック企業大賞にノミネートされた牛丼チェーン大手の「すき屋」は、従業員に対して以下の労働させていた。
- 24時間以上の勤務を何度も繰り返す
- 月に500時間(1日あたり17時間)の労働
- 深夜は店舗に一人しか従業員がおらず、休憩できない
すき家は積極的な出店とブラック労働で売上を急激に伸ばしていたが、従業員を酷使しすぎて離職が相次ぎ、1割の店舗を閉鎖し、7割の店舗で深夜営業ができなくなった。
ブラック企業のように、社員が働きすぎると急成長はできるが、いずれ限界が来て、その組織が短期間で崩壊する。
よって、アリと同様に、すべての従業員がフル稼働するような環境は作らないほうが良いのでしょう。
ニートも必然的な現象
ニートになれば再就職はほぼ不可能でも紹介したが、日本のニートの数は毎年60万人程度である。
「ニートは悪」のように言われているが、アリの研究を見る限り、日本人すべてが働いていれば日本社会を維持できなくなる。実際に、日本の戦時中は小学生まで強制的に労働させていたため人手不足となり、食料生産が低下して食糧不足となった。
アリの研究を見る限り、ニートは必然的に生まれてくる現象であり、国内にニートが多ければ、その国は社会が安定的に維持されていることを示している。